長崎県支部10周年記念大会によせて 田原伊子(準師範)

2013年10月13日日曜日  長崎県支部設立十周年の記念大会が孔子廟にて楊慧先生をお迎えして遠くは千葉支部、九州からは鹿児島、熊本、大分、福岡各支部の皆様のご参加を頂き総勢119名で開催されました。野外の大会でしたのでお天気が気掛かりでしたが雲ひとつない秋晴れで、極彩色の孔子廟の琉璃瓦が青空に映えて息を飲むほどの美しさでした。きっと十年前の支部設立の時に御出席頂いた楊名時先生のご加護だったのでしょう。孔子廟成殿の前に飾られた御遺影が「本日はまさしく晴天なり」と温かく微笑んで大会を見守って下さっているようでした。

開会宣言のあと慧先生の御指導で前半の八段錦までを終え、県外支部の皆様の二十四式の演舞、長崎県支部の演舞と続いたあと、初伝より準師範まで長崎支部24名参加による審査が行われました。全員合格を頂き、「ゆったりと競わず間口を狭く奥を深くお稽古していきましょう」との慧先生の良く透るお声に、中庭に左右十づつ並んだ賢人石像も頷いているようでした。

師範審査は長崎からと福岡から2名ずつ受けられ堂々たる演舞に心からの拍手が送られました。慧先生の「重心移動が滑らかで上手でした。繊細さの中に芯の強さが含まれ剛柔相助け合い柔らかいだけでなく軸が定まっている」との講評を頂き「皆さん偶然出会った太極拳ですが良い師に恵まれ初伝より続けてこられたことは自分自身の宝物。太極拳は入門あって卒業なし」という心に沁みるお言葉のあと4人の師範が目出度く誕生しました。唯一、中国人によって海外に建てられた廟堂というインパクトの強い会場で一般の観光客にも観覧されてとても幸運な印象深い審査会だったと思います。

慧先生のワンポイントレッスンは「太極之華」について「防ぐは攻めるに繋がり、かわしながら防ぐ。どこからも隙をつくらず攻撃の強さを秘めている。それぞれが弧、円」「主宰於腰 中世円転」について分かり易くお話し下さいました。楊名時先生がお好きだった雲手。これからお稽古するたびに思い出すことでしょう。

5重の輪になって百花拳のあと後半の八段錦、閉会宣言、記念撮影をして大会は無事に終わりました。
今大会に参加は出来なったけれど教室で熱心にお稽古を続けていらっしゃる方々を含め楊名時太極拳を愛する心がひとつの輪となり長崎支部がますます発展していきますように。