第7回指導者研修会レポート(原野昭子準師範 長崎教室)

2010年7月4日(日)13:30〜16:30 
長崎県立総合体育館武道場
講師:長谷川くみ子支部長 参加者22名
 
研修会のテーマは「吾日三省吾身。為人謀而不忠乎。與朋友交而不信乎。傳不習乎(曾子)」。「日に三度自分を省み、人のためにはかりて忠ならざるか。友のために誠心誠意つくしているか。友と交際して信ならざるか。人に教えているけれども、自分はほんとうに勉強しているかどうか」です。
前半の稽古で身体をほぐし、まずは川本喜八郎(人形アニメーション作家)の「不射之射」を観ました。春秋戦国時代の中国、弓の名人である主人公が苦行の末「至為は為すなく、至言は言を去り、至射は射ることなし」と「不射之射」を大悟し、後には弓矢の存在すら忘れてしまうという物語でした。
物語の余韻を感じながら講話へ。「太極拳経」「十六関要訣」等の文献を基に楊名時先生が要点をまとめられた「十二の稽古要諦」の重要性を再認識しました。太極拳とは「崇高な哲学理念に基づく整然とした理論を持つ拳法」であり、動きの中に思想や理論が表現されているため稽古を通して真理に近づいていくことができる、というお話が印象に残りました。
また、武術の「武」は「戈(ほこ)」と「止(やめる)」から為り、「戦いをやめる術」が本来の意味。この精神が最もよく表れた武術が太極拳であり、さらに楊名時太極拳の「争わない」「競わない」精神に深められ、「捨己従人(己を捨てて人に従う)」へと導かれています。
実技では基本姿勢の訓練として、「沈肩垂肘」「含胸抜背」「鬆腰」「収臀」を、身体のツボを意識することで正しい姿勢にする要点を習い実践。また、静止から動きに入るときには「水がこぼれないように静かに動く」「水中にいて、全ての動きにあらゆる方向から水の抵抗が感じられるように想像しながら動く」など具体的にイメージすることを学びました。
その後、百花拳と後半の八段錦を稽古して終了。太極拳の精神の深みに触れ、この道を歩んでいく上での基本的な姿勢を示していただけた研修会でした。